日本において「労働法」というと、法律の名称ではなく、労働事件の最高裁判所裁判例等における法律判断を含めた法体系を指しています。「労働法」という語が用いられるようになったのは1920年には既に東京帝国大学で末弘厳太郎による「労働法制」という講義が行われ、1924年に「労働法」という名称での講義を日本で初めて行ったのは、東京商科大学の孫田秀春であるとされます。しかし、労働法は労働運動に関するものであると当局に危険視されたことと、履修した学生が警戒され企業から採用されなくなったことから、この東京商科大学の労働法講義は名称を変更させられることになりました。この頃、雇用関係を調整する法律としては商法があったのですが、これだけでは不十分として、戦後に労働基準法が制定され、その後は、主として裁判所が判例による 政策形成を通じて、解雇の制限などに挙げられる労働法の体系の整備をしていきました。労働関係の代表的な法律として、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法があり、これらを労働三法と呼びます。また、増加する個別労働紛争への法律による対応として、2008年3月 1日に労働契約法が施行されています。
労働契約法(ろうどうけいやくほう)
労働契約法は、労働契約に関する基本的な事項を定めた日本の法律で、2008年3月1日から施行された新しい法律です。この法律の目的は、労働者または、使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、または変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることによって、合理的な労働条件の決定、変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者を保護し、個別の労働関係の安定に資することを目的としています。つまり労働者を保護することが目的となります。
この法律は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。とされており、労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。とされています。
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Last update:2023/4/19